2009/12/09

グラン・トリノ


(一本も駄作を作らない監督)クリント・イーストウッド。今回も外してません。しかも俳優としての出演は今回で最後になると公言しているそうです。
イーストウッド演じる朝鮮戦争従軍経験のあるウォルト・コワルスキーは妻に先立たれ、偏屈で昔気質なため息子家族ともそりが合わず、愛犬と共にマンネリな日々を送っている。彼の住む地区は治安も悪く移民が増え、彼の隣家にもモン族の家族が暮らしている。彼らを疎ましく思っていたウォルトだが、ひょんな事からウォルトの愛車(グラン・トリノ)を盗もうとしたことのある燐家の少年(タオ)をモン族のチンピラから助け、気さくな姉の(スー)に誘われるがままに(おとなり付き合い)を初めていく。
(モン族)のアジア的なおもてなしに戸惑いつつも、次第に嬉しそうに受け入れて行くウォルト爺のシーンが最高に素敵です。そして彼らの凸凹なやり取りがかなり笑えます。イーストウッドの映画でこんな風に笑えるなんて思ってもみませんでした。

やがて、父親のいないタオ少年と父息子、または師弟関係のような関係を築いていくウォルト、偏屈だけどおそらく元来おせっかいな性格の彼は堰を切ったように(残された時間)を味わいます。しかしそれを疎ましく思うモン族のチンピラ達によって物語は悲劇へと進んでいきます。
ウォルトは凄惨な朝鮮戦争の自身での所行をずっと許せないでいました。しかし、改めて暴力でしか解決できない問題が立ちふさがった時の彼の決断は悲しいですが、清々しいラストシーンへとつながっていきます。

アメリカの郊外と、当たり前のようにライフルを持つアメリカ人、なんだか昔の事件を思い出します。
良い映画ですが、とてもアメリカ的な作品だと思います。